わりなき恋 WARINAKI KOI by KEIKO KISHI
今、話題の女優 岸 恵子さんの書き下ろしの小説です。
大好きな女優さんで、彼女の著書はほとんど読んでいますが、これは小説ではなく
彼女の恋愛の思い出そのもの・・・なのでしょう
とてもご高齢などと思えない今でもとても美しい女性ですが、今からもう何年も前のこと
女優さんなのになぜ、あんなにも眉間に深いシワが刻まれているのかしら・・・
彼女の凄味のようなものははいったい何処からきているのかしら・・・?と
不思議に思ったことがありました。
彼女の著書を読んでいくうち、それは彼女が女盛りの40歳くらいの時(女優の仕事も
家族も日本をも捨てて愛する人との結婚のためにフランスに渡り)心から愛した夫に
裏切られた悲しい思い出・・・まわりみんなが知っていて彼女だけが知らなかった夫の
裏切りの事実・・・。
自分だけを愛していると思っていた社会的地位もあり知性も教養もある夫がまさかの
裏切り、それもあまり知性があるとは思われないユダヤ女性に心を奪われ、妻の座を
奪われた悲しみ、憎しみ、そして自分の愚かさ・・・それらすべてが彼女の眉間の深い
シワとなり彼女自身を物語っているように思えたのです。
彼女自信も著書の中で 時折 ” 修羅場をくぐった女よ ” と言っています。
あれから幾つも恋愛もしたのでしょうが、やはり自分の人生すべてを賭けて飛び込ん
だ男性のまさかの裏切り行為、もちろん彼女が本気で日本での女優の仕事を捨て
切れなかったなどのさまざまな理由はありますが、それでも、もう二度と本当に心から
愛というものを受け付けない、受け付けられないような、どこか冷めた目線で恋愛を
せざる得ない女性の姿がエッセイなどで垣間見ることが出来ます。
それらを考えながらこの 『 わりなき恋 』 を読んでみるとなぜか傷ついた過去を
持つせつない女性の悲しさを感じられずにはいられないのです
わりなき とは理屈や分別を超えて、どうしようもない、どうしようもならない・・・という
意味だそうです。
けれど、女性はそんな恋愛を体験しつつも、そしてそこで傷ついてもそれらを無理やり
ねじ伏せて前に進める力を持っているのだと(男性にはないそうで)・・・以前、男性の
心理学者から聞いたことがありましたっけ・・・
彼女もこの本を執筆することによって世間に 『 ど~よッ 』
と言ってるような気も少しだけしないでもありませんが・・・
オ~ララ~ OH La’La’