カップケーキでイナバウアー   Cupcake fun

TVでフィギュアスケートを見ていたら、数年前に渋谷のケーキデコレーションスクールでお教えした一人の生徒さんのことを思い出しました。

それは、結婚式を1カ月後にひかえたお嬢様をお持ちのステキなお母様で、この写真を持っていらして 『 どーしてもこのカップケーキを作りたいんです 』 と、スクールに材料を買いにいらっしゃったのでした。

伺ってみると、お菓子作りはあまり得意とは言えない方で、取り合えず1カ月でケーキデコレーションの基礎をお教えするのと、あとは私がお手伝いするということでスクールに通っていただくことになりました。

このカップケーキは土台のカップケーキを焼き、その上にきれいにクリームを塗り、クッキーで作った新郎新婦にアイシングシュガーを絞って洋服を着せ、立たせます。

これから1ヶ月で完ぺきなクッキーを50ペア作り、さらにその上にアイシングをきれいに絞るのはとても無理だと考えて、フォンダン(お砂糖とゼラチンで出来た食べられる粘土のようなもの)でお人形を作り、その上にアイシングを絞っていけば何とか最後の1週間で間に合うと考えてご指導しました。

けれど、お菓子作りも得意ではなく、ましてこの可愛いウェディングカップケーキを作るのはとても無謀とも思えましたが、お母様は真剣ですし、一人娘に母として手作りのお祝いをしてあげたいとの一心だったので、協力しないわけには行きませんでした

ようやくフォンダンで可愛い新郎新婦が出来上がり、よ~く乾かして固くなったらケーキに立たせるようにと言っておいたのですが、時間がなかったのでしょう・・・まだ固まっていないうちにケーキに立たせて冷蔵庫で固めたと言うのでした。

次の日、慌ててスクールにいらした彼女は、

『冷蔵庫を開けたらカップケーキの新郎新婦が全員イナバウアーをしているんです~』

と今にも泣きそうな顔

フォンダンで作ったお人形の新郎新婦がしっかり固まっていなかったのでそっくり返ってしまったわけです

それを聞いて、その状態を想像したら、おかしいやら、気の毒やらで、とにかく後ろからクリームで支え、まっすぐ立たせるようにとアドヴァイスして何とか事なきを得ました

その後、彼女はデコレーションに興味が出て、初級から中級、上級に進み、無事スクールをご卒業されたのですが、卒業の時、いかに何も出来ない自分が無謀なことを先生にお願いしたのかと・・・改めて驚いていますとおっしゃていました

ハイ!  確かに無謀でしたが、あまりに真剣で、その勢いに押されて私も一緒に頑張ったとても楽しい思い出です。

素晴らしい結婚式で、お嬢様にもとても喜んでいただけ、お母様のお顔も立ったというもの、TVのスケート選手が大会で頑張っているのを見て思い出した冷蔵庫の中のイナバウアーの思い出でした



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